先生との対話

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1. はじめに

前職で東京で一緒に働いた後輩が仙台に帰ってきたということで
数人で飲むことになった。

あんまり、人のことをネタには書かないようにしているけれども
面白かったのでやっぱり書いてみることにした。

本人が見てたらごめんね。
ちなみに自分の「ていたらく」は全面カット、若干の脚色はあるかも。

2. 彼の印象

彼は小説家志望で、なんだか不思議なやつだった

本の読み方が印象深かったのを覚えている

一緒に電車で移動していたときのこと
いすに座って彼が本を読んでいた。

のぞき込んでみると「カラマーゾフの兄弟」の新訳本だった

自分の苦手な古典文学

電子辞書をひきながら本を読をよんでいたこともあった。

なんだか、一行一行を吟味しながら読んでいる感じだ。

「ははぁ、小説家志望というものはこうも本の読み方が違うのか」
と感心したものだった。

ビジネス書ばかりをぺらぺらと読み散らかしていた
自分とは全く違う読み方であることは確かだった。

それが3年以上前の話

その後、私も仙台に落ち着き、職場も変わり
ようやく軌道に乗ってきた頃

自分が文章を書くことに興味を持ち始めた

そして、ふと彼のことを思い出した。

そうだ、「カラマーゾフの兄弟」でも読んでみるか。
小説家を目指す彼が読んでいたんだから読む価値はあるだろうと。

時代小説とミステリィはそこそこ読むけれど
文学というものは苦手だった。

文章を書きたいというものがそれくらいは読んで
おいた方が良いんじゃないかという本が

おそらく山ほどあるんだろうけれども、
その中でも、最初に思い浮かんだのが
彼の読んでいた「カラマーゾフの兄弟」だった。

そんなこともあって、
久しぶりに会ってみたくなったのだった。

3. 先生を囲む会

将来の先生ということで、ここからは「彼」ではなく「先生」と
呼んであげることにしよう。

ちなみに、実生活でも私は彼のことを「先生」と呼ぶことにした。
それがいろんな意味で「先生」であることは明らかになる。

先生が仙台には帰っていると聞いていたけど、
自分の携帯を変えたやら何やらで連絡先がわからなくなっていた。

いつものように、stoneさんにお願いして調べてもらって
ようやく連絡がつき、ご飯でもということに

せっかくの機会なので新年会とあわせて
仙台にいるけど久しくあっていない人たちを呼んでみた。

集合時間になっても先生は来ない、電話をしてみると

「あ、すいません。あと1分でつきます!」

先生は先生らしく遅れてやってきた

1次会は居酒屋でわいわいと、昔話を楽しんだ

先生は仙台駅からは1時間離れたところに住んでいた。

「今日は泊まり?」と私が聞くと

「あ、そうですか?じゃあ、泊まります。」と先生。

一瞬、話の流れがおかしいと思ったが。
完全にウチに泊まる気だ。

珍しく家をそこそこキレイにして
風呂場の掃除までしていたのは何の予感だろうか。

どんな話の流れだったか、私の実家のお寺の話からだったろうか
先生が
「実は最近、僕はアラヤシキに興味があるんですよ」
と始めた。

私はポカンと「なに?アラヤシキ?」

「あれですよ、仏教のユイシキに出てくるアラヤシキですよ。」

全くスイッチが入っていなかったのでポカンとしてしまった。
みんなも当然ポカンとしている。

唯識の阿頼耶識ということらしい、私もよくわからないけれども
どうやら深い話をしたいらしいということはわかった

「じゃあ、その話は後で」と雰囲気を戻す

2次会は近くのお店で
もはや、いつものグダグダ

あとは、先生とstoneさんで自宅へ向かう

そこら辺でいろんなことがあったらしい

〜〜〜自主規制により省略〜〜〜〜

4. 宴の後

起きたら横に先生(男)が寝ていた

残念ながらそんな趣味はない

当然のことながら頭が痛い

トイレに行こうとすると

stoneさんがピクリともせずに横たわっていることに気づく

いつものことなので無視

こぼれた柿ピーを踏み分けてトイレに向かう

その後、自分が風呂に入ったりなんだりしていると先生が起きたようだ
二日酔いではないらしい

シャワーをしたいというので、タオルを貸す

しばらくすると先生が

「シャンプーはあります?」
「 僕シャンプーないとダメなんです。」

「ないよ」と私。
私は皮膚が弱いのでシャンプーを使わないのだ。

「あぁ、じゃあ買ってきます。わがままですいません。」と先生が謝る。

好きにしてください。
こっちは頭が痛いのでもう一度眠りに入る。

ガサゴソと音がして帰ってきた音がする。

なにやら、飲み物なども買ってきてくれたらしいので
いただくことにする。

5. 先生との対談

先生がシャワーに入った後

なんでそんな話になったかは覚えていないけれども

いつの間にか先生と二人でいろいろと話をしていた

哲学や宗教のことなんかも話したと思う
話したことをいろいろ書こうかとも思ったが
よく覚えていないので中途半端になるのでやめることにした。

結局は
「なんで、人というのはもっと考えないんだ」
ということだったと思う

しかも、私は二日酔いで布団にくるまったまま
先生にそっぽを向けていて先生がどんな体勢で
どんな顔で話しているかわわからない。

そんな、格好でどれくらい話ししていただろうか
1時間だろうか2時間だろうか
時計を見ていないので全くわからない

とにかく、こういう話ができるのは金沢の実家で
坊さんをしている兄貴とだけだった。

もう一人そういう人が増えて無性にうれしかった。

おそらく、人生に5人いればいいだろう。

私はまだ布団にくるまって寝ていた
先生はどうやら約束の時間まで
話の中にでてきた禅宗のお坊さん二人の対談本を
ソファで読むことに決めたらしい。

寝ては起きてを繰り返す私の目に
ソファに座った先生の足だけがみえる。

そして、先生が本をゆっくりとめくる音だけが聞こえる。

その姿は見えないが、先生のあの吟味読みが始まったのだ。

これまた、どれくらいの時間がたっただろうか。
やはり1時間か2時間ほどだろうか。

ちなみに、その間、stoneさんは微動だにしなかった。

6. 宴の始末

なんとか、私も少しは動けるようになり

そろそろ、先生が約束のある時間だと言うことで

私は布団をあげて、散らかった柿ピーを掃除機で吸い込みはじめた

読んでいた対談本のことを聞くと
「やっぱりわからない言葉が出てくるので辞書が欲しいですね。」と先生

辞書を引きながらの読書も変わっていないらしい。

ガリガリ掃除をしているとstoneさんがようやく起きる
やっぱり、生きてはいたようだ

フローリングに直に寝ていたので体が痛そうだ
もちろん二日酔いだろう

突然、先生が
「この辺に食べ物屋さんはありますか?」
と聞いてきた。

私、「ないことはないけど、休日だからやってないかもね。どうしたの?」

なんだか名残惜しそうに先生
「もしよければ、皆さんで食べませんか?」

「それは、ムリ」

二日酔いの二人が間髪入れずにキッパリ拒否

先生は二日酔いの食欲のなさを知らないのだろうか。

ベランダのドアを開けて、換気をしながら
iTunesでバッハの無伴奏バイオリンをかける。

二日酔いの頭に少しでもさわやかさを取り込みたかったのだろう。

宴の始末も終わり、とうとう、お二人のお帰りの時

先生が最後に一言

「あの、すいません靴ベラありますか?」

「・・・・・・・・・先生、うるさい」

やっぱり、先生は先生だった

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